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どこの業界でも倒産の嵐が吹きまくる・・・

レナウンの倒産はコロナのせいなのか
新型コロナが問題になって以降、上場企業の初めての倒産に衝撃が走りました。5月15日、レナウンが民事再生法の適用を申請。負債総額は約138億円にのぼり、事実上の経営破綻となりました。新型コロナウイルスの影響による「コロナ倒産」と言われていますが、実はコロナ以前からレナウンの経営は悪化しており、百貨店やショッピングモールを通した代理店手法を使う旧来の販売戦略に固執する、旧態依然の経営方針が経営破綻へと繋がりました。

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レナウンは、バブル崩壊後の1990年代から業績は下降線を辿り、百貨店の低迷に加え、ユニクロなど大手SPA(製造小売り)の台頭も直撃しました。2010年に中国の山東如意の傘下となり、経営再建を試みるも、時代の流れに乗るタイミングを逸した同社は自力では意思決定も立ち上がることもできなくなってしまった。
全国の百貨店の衣料品の売上高の推移は右肩下がりで、日本百貨店協会のデータによると、19年の売上高は1兆6800億円と、08年の2兆7100億円と比べて、10年間で約1兆円も減収したことになります。売上高構成比でも08年の36.8%に対して19年は29.3%になっており、販売苦戦だけでなく、百貨店における衣料品売り場自体が縮小しています。全国百貨店自体の年間売上高も、年々減少傾向で、百貨店を代理店として商品を売ってきた、アパレル業界はコロナ以前から非常に厳しい状況に置かれています。
レナウンはなぜ時代に乗り遅れたのか
一方、拡大を続けているのがネット通販(EC)市場です。経済産業省のデータによると、ネット通販の衣料・服飾雑貨などの市場規模は18年の市場規模は1兆7700億円と、08年の730億円と比べて、約1兆7000億円増加していることになります。百貨店の衣料品の売上高と比較すると、まるで、鏡で映したかのように真逆の数字となり、アパレルはECの台頭で、ここ10年で明らかに業界変容が起きたのです。レナウンのようにこの10年間に消費行動に合った販売戦略を打ち出せなかった企業は淘汰される結果となったのです。
レナウン自体もこの業界の変化を当然、理解しており、戦略の立て直しをはかっています。にもかかわらず、なぜ、日本のファッション産業を牽引してきた名門企業は変化に対応できなかったのでしょうか。レナウンは10年に「中国のLVMH」とも称される山東如意の傘下となっています。中国進出をかけて、10年前に大きく舵を切っていました。レナウンのカジュアルブランドを扱う店舗を10年間に中国で、最大1000店舗出す計画を立てていましたが、実際は100店舗にも届かず14年に撤退し、中国進出を失敗しています。
リストラにより人材難に陥った…
さらに、レナウンは山東如意グループの傘下後、40以上あったブランドを半分以下にするなど不採算事業の整理を進め、「ダーバン」「アクアスキュータム」を主力ブランドとして注力しましたが、販路である百貨店向けが低調で、厳しい経営が続いていました。13年に山東如意の子会社となり、人員削減やブランドの統廃合、資産の売却を行いながら起死回生を見計らっていましたが、リストラを続けてきた社内に、アパレル業界の激変に対応するための施策を打ち出せる人材は残っていなかったのです。
レナウンは、営業利益の赤字拡大が続き、18年は25億7000万円の赤字、19年には79億9000万円に赤字拡大し、最後は、コロナの影響により、主力の百貨店ブランドの販売が落ち込んだことと、山東如意子会社との原材料の販売取引において売掛金の回収が滞り、53億円の貸倒引当金を計上したことがとどめと刺した格好になっています。
本気で再建する気のない親会社。ECの展開などを自力での施策を展開できるうちに、戦略を立てることができずに、心ないM&Aの相手にすがってしまった。民事再生法の適用申請自体も、山東如意は難色を示し、結局、保険業務を行う子会社・レナウンエージェンシーが債権者としてレナウンの民事再生法適用を申請しています。
レナウンの衝撃は他のアパレル企業に
10年かけて会社はボロボロになり、自社の意志では何も決定できなくなったレナウン。最後は親会社に見放された格好になりました。
レナウンの破綻は、進めていたEC化の遅れも要因の1つです。レナウンの19年12月期の業績では、ECの売上高は11億900万円で、EC化率は3.2%でした。EC売上の拡大計画を掲げていましたが、うまく、伸ばすことができていなかったのです。
このEC化率については、他の百貨店を主力としてきた総合アパレル企業にとっても、生き残りをかけた施策となります。「ポールスチュアート」などを展開する三陽商会の20年2月期におけるEC売上高は84億6400万円で、EC化率は12.7%です。「23区」や「自由区」を運営するオンワードオンワードホールディングスの20年2月期におけるEC売上高は、333億800万円で、EC化率は13.4%となっています。
オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主力としている企業がECの強化をしていくことは、百貨店の衣料品フロア自体が維持できなくなることを意味します。百貨店と言えば、メインの階に華やかな、衣料品店舗が占めている、今の姿も、今後は全く違う姿に変化していく事になるでしょう。百貨店も変革を受け入れることができなければ、存続自体が危うい業界なのです。
リユース・中古品の台頭
それに加えて、直近のリユース市場の台頭です。「経済産業省の平成30(2018)年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告」によると、18年のフリマ市場は6,392億円であり、はじめてフリマアプリが日本に登場した12年から、僅か6年で巨大な市場が形成されたことになます。一方「衣類・服飾雑貨等」の小売市場規模は推定で約14兆円とされ、また、同カテゴリーの国内ECの市場規模は先述の通り1兆7700億円とこちらは拡大傾向です。今のところ、マーケット全体で考えると、フリマアプリがアパレルの実店舗やEC市場に巨大な影響を与えているとは言えないと分析しています。
現状のフリマ市場の位置付けは、フリマアプリ(二次流通)と新品市場(一次流通)は補完関係にあり、フリマアプリは“売ることを前提とした買い物”という新しい消費スタイルを確立しつつあります。フリマアプリのプラットフォーム事業者による決済サービスによって、例えばフリマアプリでの売却代金を実店舗やECでの購入に充てるといったことも可能となっています。フリマアプリは新品市場と競合するポジションというよりも、刺激する存在との見方が、現段階では適しています。
レナウンショックは序章にすぎない
ただ、今後、フリマアプリの市場規模が今後さらに拡大する過程において、消費者の購入の選択肢として一次流通(店舗やECでの購入)と二次流通(フリマ市場での購入)を同列に考える消費行動が定着化すれば、フリマ市場も顧客を奪い合うライバルとなり、市場構造に変化が生じることは予測されます。
アパレル企業は、今回考察した、百貨店を主力とする企業だけではありません。ファーストリテイリングの「ユニクロ」、しまむらのような製造小売り(SPA)の存在や、作業服に強みを持つワークマンなどの企業がレッドオーシャンの中で戦っています。
EC化率を伸ばすことができないアパレル企業は生き残る事は厳しく、そして、背後に控えるフリマ市場。レナウンショックは、構造的に問題を抱えているアパレル・百貨店業界の淘汰・再編への序章にすぎないのです。
---------- 馬渕 磨理子(まぶち・まりこ) テクニカルアナリスト 京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。 ----------




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