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日本の立ち位置、難しいな・・・・・

断固たる措置と中国徹底批判、日本とは大違いの米国

古森 義久 2020/03/18 06:00



[コピーライト] JBpress 提供 ホワイトハウスで国家非常事態を宣言した米国のトランプ大統領(2020年3月13日、写真:UPI/アフロ)
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
 世界が一夜にして変わった――こんな表現が決して誇張ではないほどアメリカの首都ワシントンの空気は激変してしまった。原因はいうまでもなく中国に端を発した新型コロナウイルス感染症である。トランプ政権は国家非常事態を宣言したのだ。
 だがそんな激変のなかでも、米国の中国に対する厳しい姿勢はこれまでと変わらず、今後さらに厳しく険しくしていくという展望が一層鮮明となってきた。
初めて見る首都ワシントンの異常事態
 首都ワシントンで取材活動を続ける私にとって、米国が中国発の新型コロナウイルスに対して新たにとった多数の措置は、まるでSF映画をも思わせるほどドラマチックだった。ワシントンでの活動は通算30年ほどになるが、こんな異常事態はみたことがない。
 2月までの米国では新型コロナの感染者はまだ少数で、しかも北西部の西海岸ワシントン州だけにとどまっているという感じだった。東海岸の首都ワシントンでは、新型コロナの影響はツユほども実感できなかった。ところが3月上旬になってから少しずつ、しかし着実に状況が変わり始めた。そしてそのスピードが一気に上がったのだ。
 まず、3月7日に首都のワシントンDCで初めての感染者が確認された。感染したのは都心部のジョージタウン地区にあるキリスト教会の牧師である。だから、教会で多数の信徒たちと接触する機会があった。連邦議会でも上院議員のなかに感染者が出た。議会関連の公聴会や集会が、中止あるいは延期となり始めた。全米での感染者が日に日に増していき、大学での集会や劇場の公演もキャンセルされるようになった。
 首都の風景、いやなによりも雰囲気が変わっていった。私自身もつい1週間ほど前までは、日本の友人知人に「コロナウイルスの脅威を感じない、マスクのない世界は快適です」などと自慢げに伝えていた。ところがあっというまにそんなことを言える状況ではなくなったのだ。
ついに国家非常事態を宣言
 米国の雰囲気の変化を決定的にしたのは、3月13日のトランプ大統領による国家非常事態宣言だった。
 国家非常事態宣言の会見では、トランプ大統領と、ウイルス対策本部長のペンス副大統領はじめ医療専門家や民間主要企業のトップがずらりと並び、種々の緊急対策を明らかにした。民間のビジネスを重視するトランプ大統領らしく、主要なアメリカ大企業の社長たちをチームに招き入れ、官民合同のコロナウイルス一大対策組織を旗揚げしていた。
 一連の対策のなかでまず大きな柱となるのは、ウイルス感染が疑われる人たちの入国禁止措置の拡大だった。欧州諸国からの入国も30日間、全面禁止にするというのだ。米国人ならば欧州から本国へ戻れるが、その場合でも2週間隔離される。欧州ではイタリアだけでなくスペイン、フランス、ドイツなどでもウイルス感染者が激増していることへの思い切った対策だった。
 ペンス副大統領はトランプ大統領の横から「わが国はすでに中国と韓国からの外国人の入国を制限している。これで感染者が多い国からの危険な人たちの入国を大幅に抑えられる」と強調した。中国での爆発的なウイルス拡散が明白となっても中国からの来訪者を制限しなかった日本政府の当初の対応とは、きわめて対照的である。
政権の中枢から中国への抗議を表明
 トランプ大統領の非常事態宣言は、他にも多様な措置を含んでいた。だが、その発表においてペンス副大統領が繰り返し力説したのは、危険な新型コロナウイルスがそもそも中国で発生したという基本認識と、中国での感染者が全世界にウイルスを拡散したことへの怒りともいえる強固な反発だった。
 トランプ政権の中国に対する激しい抗議の姿勢は、大統領の国家安全保障政策の形成や実施で最側近となる国家安全保障会議の大統領補佐官、ロバート・オブライエン氏の言葉にも見てとれる。オブライエン氏は3月11日、トランプ政権に近い保守系のシンクタンク「ヘリテージ財団」で講演して、中国政府のコロナウイルスへの対応を激しく非難した。その発言の骨子は以下のとおりである。
・中国政府の新型コロナウイルス感染の拡大への対応はひたすらカバーアップ(隠蔽)することだった。そのため国際社会は適切な対応をするうえで2カ月間もの遅れをとることとなった。
・武漢の新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は隠蔽されてしまった。現地の医師たちが沈黙を強いられたり、拘束され、ウイルスについての情報が外部に出ないように強制されたことが伝えられている。
・もし中国政府が当初から協力的であれば、WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾患管理予防センター)の専門チームが武漢で現地調査を行い、中国や世界でいま起きている感染拡大を劇的に減らすことができただろう。
・トランプ大統領が1月末に中国からの米国への入国を止めたことは勇気ある決断だった。その結果、米国はウイルスの感染の拡散を防ぐうえで6~8週間の準備期間を得ることができた。
 オブライエン補佐官はこのように中国の責任を全面的に追及し、非難した。米国の安全保障政策に関してトランプ大統領の最側近の1人である同補佐官の公の場での発言は、大統領の基本姿勢の反映だといってよいだろう。
安倍政権とはまったく異なる対中姿勢
 トランプ大統領は習近平国家主席に対して「私のよい友人だ」などと述べている。だが、そんな外交辞令の裏側の本音は、オブライエン補佐官の発言に集約されているといえよう。
 同じくトランプ大統領の至近距離に位置するマイク・ポンペオ国務長官も3月上旬に、「この事態は、あくまで“武漢コロナウイルス”が引き起こしたものだ。中国の対応は、米国の透明性、開放性、情報共有による対処とは異なっている」と述べ、中国の隠蔽工作こそが現在の各国の苦悩を生んだのだとして中国非難の姿勢を明確にした。
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 トランプ政権の高官たちによる、歩調を合わせたこれらの言明は、米国の政府や議会が、情報を隠蔽する中国共産党の独裁体制への糾弾を今後も続けていくことの表れであるといえそうだ。
 トランプ政権のこうした姿勢は安倍政権のそれとはまったく異なっている。その相違が日米関係に大きな摩擦などを起こさないように祈りたいところである。



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