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日本も、変わらにゃいかんなぁ・・今回の10万円の特別給付金配布は8月か?

日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大がいったん落ち着いた。とりあえず第2波がやってくるまでは、いろいろと考える時間がある。

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 コロナの影響やその対応が日本の問題点をいろいろと浮き彫りにしたが、その1つが「自前主義」ではなかっただろうか。あらゆる政策に対して、日本は極めて特殊な方法によって、何から何まで自国だけで対応しようとしたように見えた。
 自前主義とは、企業経営でいえば自社開発の技術や製品を既存の取引先とだけ販売や取引を行う垂直統合型のイノベーションモデルのことで、「自前主義=クローズドイノベーション」と呼んでいる。
 自前主義には、確かにさまざまなメリットもある。人材や研究開発を自前で賄うため、成功すれば技術や利益などをすべて単独で獲得できる。日本を代表する自動車産業や家電メーカーは、残らずこの自前主義を貫いて世界で成功した時代があった。
 ところが、自前主義には致命的な欠点がある。開発に時間とコストがかかることだ。例えば今回のコロナウイルスのPCR検査キットの開発などは、ドイツや韓国がいち早く開発していたものを、日本はあくまでも自前主義にこだわった。アメリカやロシアなどのように、検査キットが不足すれば緊急的に韓国やドイツから輸入して対応する、といった発想はどうやら日本政府にはなかったらしい。
PCR検査、10万円給付で手間取った日本
 とりわけ目立ったのが、政府や自治体のデジタル化の遅れだ。従来より、日本政府のデジタル化の遅れは指摘され続けてきたことだが、行政のITシステムがいざというときにはほとんど機能しなかったことを国民はやっと知ったと言っても過言ではない。
 感染者数の集計がオンラインではなくFAXで行われていたという事実も驚きだったが、結果的に感染数の数字そのものの信頼を歪めた。
 同様に、緊急経済対策として1人当たり10万円を給付する「特別給付金」の申請にあたっても、郵送よりも時間がかかるという理由により、各地でオンライン申請を中止したのも驚きだった。ほとんどの自治体で「郵送による申請にしてほしい」とアナウンスするなど、その不手際が目立った。オンラインで受け付けても、その後はすべて手作業という本末転倒のオンライン申請受け付けだったわけだが、これが日本の自治体の実力と言っていいかもしれない。
 しかも驚くことに、特別給付金のオンライン申請のためのシステム開発を、京都市など複数の自治体が乗り出しているという報道もあった。住民からの申請を処理するシステムは、どの自治体も大差なく、国が一括して迅速にシステム開発を行い、各自治体にソフトウェアを配布すれば済むことだが、どういうわけだか日本の政府や自治体には「自前主義」という、とんでもなく非効率の前近代的な考え方が残っているようだ。
 システム開発ひとつ統一できないリーダーシップのなさは、いったいどこに原因があるのか。
日本の行政のIT化は疑問だらけ
 そもそも日本の行政のIT化には疑問が多い。例えば国税庁が開発した「国税総合管理(KSK)システム」は、国税庁の現場業務を把握していた文具店がシステム開発の中心に加わるなど、完成まで12年の歳月をかけて開発。その結果、開発費用もさることながら、その管理維持に莫大な費用が掛かっていると指摘されている。度重なる法改正やセキュリティー対策のための機能を追加していった結果、 現在でも年間300億円ほどのコストが、システム維持に費やされていると言われている。
 確定申告時に使われる国税電子申告・納税システム(e-Tax)やマイナンバー対応と言った追加システムが加わったことで、大きな負荷がかかるシステムになってしまっている。
 ちなみに、システムの独自仕様にこだわってコストを無駄に費やしているのは、民間企業でもあまり変わりはない。経済産業省の「情報処理実態調査(平成29年)」によれば、「1社平均IT関係諸費用」は9億6044万円で、このうち8割が現状維持のために使われているコストだと言われている。
 日本の場合、行政全体のデジタル化が一向に進んでおらず、官民そろっていまだに「ハンコ文化」が根強く残っている。これでは生き残れないことを、今回の新型コロナウイルスの緊急事態宣言の中で国民の多くは学んだのではないだろうか。
 むろん、こうした時代の流れを政府も指をくわえて見ていたわけではない。まずは2013年に「政府CIO」を設立している。情報化投資家開発、政府全体の情報システムやサービス全体を統括する目的で作られたもので、正式には「内閣情報通信政策監」と呼ばれる。この政府CIOがポータルサイトを制作し、行政のデジタル化を推進させようといううごきが始まったわけだ。
 2016年12月には「官民データ活用推進基本法」を成立させ、データ流通環境の整備や行政手続きのオンライン利用の原則化など、官民データの活用に取り組み始める。2018年7月20日になってやっと「デジタル・ガバメント実行計画」を閣議決定している。
 そのデジタル・ガバメント実行計画が、実質的にスタートしたのは2019年12月20日。まさに新型コロナウイルスが、ひそかに中国武漢で猛威を振るい始める頃だった。結局、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックには間に合わなかった、というのが現状だ。ちなみに総務省でも「自治体システム等標準化検討会」を発足させ、2019年8月16日からスタートさせている。2020年3月16日には第8回目の分科会を行っており、住民票のシステム化について検討している。
 残念ながら内閣府も総務省も、今回の新型コロナウイルスの対応には間に合わなかったわけだが、政府も行政のITシステムのデジタル化が進まない理由のひとつが、自前主義によることは一部ではよく理解されているのかもしれない。ではなぜ、自前主義から脱却できないのか。
 例えば「オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)」が発行している「オープンイノベーション白書第2版」によると、 日本におけるオープンイノベーションの課題が垣間見えてくる。
時代は「脱・自前主義=オープンイノベーション」の世界
 自前主義は、日本企業の旧来型の技術革新の方法であり、経営手法でもあった。世界に冠たる経済大国となった日本式経営を象徴する方法といってもいい。当時の日本企業はイノベーションを起こして成功した企業が非常に数多く現れたものの、最近の日本企業は大きくなりすぎて小回りが効かなくなり、技術も多様化しており、1社で新しいイノベーションを起こすのは極めて難しい状況に変化している。
 にもかかわらず、日本の経営者は自前主義を信奉し、過去の成功事例にしがみついているのが現実だと指摘する。
 とりわけ、雇用の流動性が低い日本の場合、人材不足が深刻で新しい技術開発を成功させる条件が整っていない。「オープンイノベーションなくして技術革新はない」――これが現在のビジネス界の常識と言っていい。
 実際に、世界はとっくの昔に自前主義を捨てて、「脱・自前主義=オープンイノベーション」の世界に突き進んでいる。オープンイノベーションとは、2003年にアメリカ・ハーバード大学経営大学院のヘンリー・チェスブロウ教授が提唱した技術開発に関する概念のひとつで、技術開発を促進するために、あえて外部と技術やアイデアなどの情報を交換し合うことで、イノベーションのスピードを高めようというものだ。
 日本企業の中でも自前主義からの脱却を図ろうという動きも見られるが、いまだに自前主義にこだわり続けている企業も少なくない。最先端のスマホの部品や技術に不可欠な部品を自前主義で作り続けている。しかし、素材の調達から部品の開発、開発要員の確保などなど、すべて自前でそろえて時間やコストをかけて作り上げた製品も、世界中のイノベーションの波の中ではあっという間に新しい技術に凌駕されていく。
 そんな中で、日本の旧来型の考えが根強く残っている中央官庁の官僚や地方自治体の公務員は自前主義にしがみついている。今回の10万円の特別給付金配布のためのシステム開発を、それぞれの各自治体が始めると言った現実は、スピードやコストを無視した時代遅れとしか言いようがない。
 その結果、緊急事態宣言が解除された今なお、10万円を手にしている人間極めて少数だ。
 政府が進める「デジタル・ガバメント実行計画」についても、 NTTデータ経営研究所が「緊急提言 『デジタル・ガバメント実行計画』を画餅で終わらせないためには~実行者は「官」ではなく「政」である~」というレポートを発表している。
 2018年1月に公表されたデジタル・ガバメント実行計画の概要について、「内容は高く評価するものの、この改革は『デジタルを武器とした社会制度改革』であり、その実行主体は『政』である」と提言している。
紙・ハンコ文化が根強く残る日本
 現在の行政サービスは、住宅の購入や自動車購入と言ったさまざまな手続きひとつにしても、山のような書類を何回も記載し、印鑑や実印を捺印し、署名提出しなければならない。加えて住民票や課税証明書、各種の登記事項証明書等の公的証明書を添付しなければならない。場合によっては、これらの証明書を入手するのに自治体の窓口や法務局等に出頭しなければならない。
 ペーパーレス化やワンストップ化が日本の場合、まったくできていない。裁判のデジタル化なども夢のまた夢と言っていいのかもしれない。欧米や中国、韓国では、ペーパーレス化やワンストップ化がすさまじい勢いで進んでいる。
 日本政府のこうしたデジタル化の遅れは、政治のリーダーシップのなさの象徴でもあり、自民党や公明党といった与党の責任でもある。



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