SSブログ

日本の役割は大きいぞ・・・・・

ここにきて、北朝鮮に対する中国の姿勢が変わってきているとジャーナリストの田原総一朗氏は指摘する。

*  *  *

 北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐって、20カ国が参加する外相会合が1月16日、カナダのバンクーバーで開かれた。そして、前日には北朝鮮に対して圧力を強めるか、対話を重視するかで温度差が生じたのだが、16日の外相会合では、北朝鮮への圧力を強化することで結束した。


 この会合には、ロシアとともに中国は参加しなかったが、北朝鮮に圧倒的な影響力を持っているのは中国である。北朝鮮の貿易の多くに中国がかかわっており、何よりも、中国がもしも原油の供給を止めたら、北朝鮮の社会は成り立たなくなる。

 だから、トランプ大統領の米国は、その中国が北朝鮮に本気で圧力をかけるのを期待してきたのだが、はっきり言って、習近平国家主席の中国は、その期待に応じてこなかった。

 中国にとって朝鮮半島が韓国によって統一されることは最悪で、北朝鮮という存在がなくてはならず、だから北朝鮮の存在が危うくなるような圧力は慎重に避けてきたわけだ。

 国連の第9回、第10回の北朝鮮への安保理制裁決議でも、北朝鮮の存在が脅かされるような項目は省かれている。だが、ここへきて、習主席の北朝鮮に対する姿勢は、明らかに大きく変わっている。私は昨年の秋まで、実は習主席の中国は、北朝鮮を核保有国として認めるつもりなのではないか、と疑っていた。もしもそうだとすれば、米国や日本とは根本的に姿勢が異なるわけだ。

 だが、ここへきて中国は、北朝鮮の核を認めない、という姿勢をはっきりさせたのではないか。

 そのことを示しているのは、中国が北朝鮮との国境近くに5カ所の難民収容施設をつくる、と明らかにしたことだ。

 中国が北朝鮮を本当に苦しめるのを避けてきたのは、北朝鮮が混迷すれば、少なからぬ国民が難民として中国になだれ込むのを恐れたからである。だから、北朝鮮に対する決定的な制裁は拒んできたのだ。

 難民収容施設をつくることを明らかにしたのは、何よりも北朝鮮に対する強烈なメッセージである。これまでは、難民を恐れて北朝鮮のレジームを壊すのを回避してきたのだが、難民がなだれ込んでも平気だぞ、と宣言したことになる。

 さらに、トランプ大統領が訪中して習主席と会談した後、昨年11月に習主席は側近の宋濤・中央対外連絡部長を北朝鮮に派遣した。

 だが金正恩委員長は宋濤氏に会わなかった。会うことを拒んだわけだ。この出来事を、日本を含む世界のメディアは、習主席が金委員長を甘く見たための失敗だと見た。

 宋濤氏は格が低すぎて、ばかにされたと怒った金委員長は会見を拒んだ。そのために、習主席はメンツをつぶされた、というわけだ。

 だが、私が信頼している習主席をよく知る人物は、金委員長が習主席の特使とは会見しないことを予見していたので、メンツをつぶされないために、わざと格下の人物を特使として派遣したのだろうと語った。

 逆に言えば、習主席は、金委員長と対話する気持ちがないことを示した、ということではないのか。習主席が北朝鮮の核保有を認めず、北朝鮮をかばう気持ちが薄れたとなると、米中が手を組める可能性が生じてくる。私は、これは日本の出番で、かつて小泉純一郎首相が金正日総書記に対して行ったように、日本が米朝の対話の仲介役となるべきではないか、と考えている。

※週刊朝日  2018年2月2日号




AAv55lP.jpg
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。