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松坂で復活か・・・首脳陣は、どう評価?

中日小笠原が怪我から復活できた理由 転機は松坂とのキャッチボール「全てが財産」
9/20(金) 7:40配信


中日・小笠原慎之介【写真:荒川祐史】
19日の巨人戦に先発し6回3安打1失点の好投を見せた小笠原
 小笠原慎之介が投げた。惜しくも2年ぶりのナゴヤドームでの勝利こそ付かなかったものの、6回3安打1失点の好投。先発としての役割を果たした。

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「野球の神様はいると信じています。その神様が『こいつは怪我しないと分からないな』と思ったんでしょうね。投げられない間、色んなことを勉強しました」

 甲子園優勝。ドラフト1位。小笠原は常に陽の当たる場所でプレーし、スター街道を走ってきた。1年目に2勝。2年目に5勝。3年目には球団史上最年少開幕投手を務めた。

「去年は開幕に全てを合わせました。そこから各チームのエースと当たって、勝たなきゃという気持ちが強くなって、肩にかなりの負担をかけていました」

 集中は時に痛みを忘れさせる。しかし、限界を超えるとさすがに気付く。開幕から1か月後の検査でインピンジメント症候群と診断された。それでも、小笠原は投げた。投げてしまった。7月まで懸命に腕を振り、5勝。しかし、8月に再検査を受けた。左肩に水がたまり、内出血していることが判明。左肘の遊離軟骨も見つかり、即手術となった。

 今年の春季キャンプはスローペース。肘は順調に回復したものの、肩が一進一退だった。キャッチボール、遠投、ブルペンと進んで、痛みが再発。もどかしい1か月だった。

「3月に名古屋に帰ってきて、もう1度フォームを見直したんです。最初に取り組んだのはシンプルに軸で立つことでした」

 今、小笠原は右足を3塁側に引いた状態で投げ始めている。

「今までは右足を上げる際、右膝が遠回りしていたんです。すると、バッター方向に投げに行く時に今度は右膝が遠回りして着地する。反動は付きますが、どうしても腕が振り遅れる。これではまた肩を痛めてしまう。スッと軸で立つにはどうするかを模索しました」
転機は5月下旬、松坂とのキャッチボールだった
 2軍にいる3人の投手コーチ全員に聞いた。

「こればかりは個人で違うんです。小笠原(孝)さんは右足を斜め後ろに引いた位置からスタート。門倉(健)さんはほぼ真横。浅尾(拓也)さんは真後ろでした。色々試した結果、今の位置に落ち着きました」

 小笠原にはもう一つ悪癖があった。

「テイクバックでボールがすぐに上を向くんです」

 左投手はまず右足を上げる。この時点ではまだ右手のグラブとボールを握った左手は胸の前にある。そこからバッター方向に移動する際、グラブとボールは離れていく。グラブは前、ボールは後ろ。このテイクバックの際、通常、左手の甲がしばらく上を向き、ボールは下を向くが、小笠原はすぐにひっくり返ってしまうのだ。

「肩を痛めてからです。怖いから、力を逃がしてしまう。これでは肩はかばえますが、肘に負荷がかかる。これが最大の修正ポイントでした」

 5月下旬、転機が訪れた。

「リハビリ担当の方に勧められて、松坂(大輔)さんとキャッチボールをすることになったんです。以前もありましたが、今回はたくさん会話をしました。何を意識しているのか、今日の出来はどうなのか、とにかく質問しまくりでした」

 何度も肩を壊した経験がある右腕は無数の引き出しを惜しげもなく披露した。そして、ついに小笠原はヒントを得た。

「結局、腕が体から離れないこと。この1点を意識することに辿り着きました」

 さらに副産物として、他人のキャッチボールを見る目を養ったという。

「それまでは自分の投げ方ばかりを気にしていたのですが、今は相手の癖が分かるようになりました。1軍では梅津(晃大)さんと組んでいますが、毎日微妙に違うんです。良い時は上下のバランスが良く、軸回転が綺麗。他のピッチャーのキャッチボールを見て、気付いた部分を取り入れることもしています」

 野球の神様は背番号「11」に怪我と引き換えに「時間」と「聞く耳」と「観察眼」を与えた。今はトンネルを抜け出し、再びスポットライトが当たるマウンドに立っている。そんな小笠原がポロっとつぶやいた。

「松坂さんは絶対に野球を辞めない人だと思っています」

 思いが溢れ出る。

「春夏連覇、WBCで2大会連続MVP。僕の中では永遠のスターです。本当に大きな存在。全てが財産です」

 揺れる松坂の去就。今、その答えは野球の神様さえも分からない。ただ、これだけは確信している。平成の怪物の教え、魂、DNAが令和の若竜たちにしっかりと受け継がれていることを。残り7試合。まだ戦いは続く。
(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)







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