松坂大輔投手(37)の入団で盛り上がる中日のキャンプ地、沖縄・北谷公園野球場。5000人のファンが詰めかけたキャンプ初の土曜日の2月3日、思わぬ光景を目にした。

 室内練習場からブルペンへの移動距離は約200メートル。松坂の周りを6人の若手投手が囲んで歩いていた。松坂が動けば大勢の報道陣が、そしてサインを求めるファンが追っかける。西山球団代表は「松坂選手、ファンに万が一のことがあってはならない」と、球団広報に加えて新たに松坂専属の警備員を配置したが…。同僚も松坂のガードマンだ。

 球場正面のショップでは松坂グッズがキャンプ2日目に完売した。この手の“松坂効果”は予想できたが、記者が驚いたのは、松坂のチームに溶け込む早さだ。「すごくやりやすいです。若い子もすごく元気があって明るいというのがチームの印象ですかね」。キャンプ初日にこう話した。

 テスト入団とはいえ、日米通算164勝。“平成の怪物”と呼ばれ、一時代を築いたスター。ナインとの距離を縮めるのは、相当な時間がかかるだろう…とみていた。

 1月28日、北谷での自主トレに合流した松坂は「僕と仲良くしてください。怖がらずにどんどん話しかけてください。こちらはOKです」とあいさつ。間髪入れずに、大野雄が「ダイスケ!」と叫び、ナインは大爆笑。松坂も「そんな感じでいいよ」と笑顔で応えた。振り返れば、このやりとりで、若手との距離はグッと縮まったような気がする。

 北谷のブルペン。松坂はエース候補と期待される小笠原ら若手投手陣の投球練習をチェック。そのあとアドバイスする光景を目にする。松坂は「アドバイス? 雑談ですよ。自分も(復活への)ヒントがあるかもしれない」と内容は明かさなかった。そして、若手投手も多くは語らない。5年連続Bクラスに低迷している竜。松坂が1軍にいれば“波及効果”ははかりしれない、と確信している。(三木建次)